「開高健さんの背中」

 「秋鮭」は、冬の「こまい(カンカイ)」と並ぶ私の釣りのターゲットの双璧である。

 釣り上げる自信があるからそう思うのではない。

 食べたいのだ。もちろん引きの良さもある。


 子どもの頃、作家の開高健さんの釣りの特番をかじりついて見ていた。

 自分が釣りたい、とはそのころ思わなかった。

 ただ、「大物」の夢を追う姿が、子供心に響いたのだろう。


 大人になった今、何本もの竿や何組もの仕掛けを持って海へ出て行ける環境になった。

 開高健さんの背中が、やや近く感じられる。

 もうすぐ7月。鮭はどの辺だろうか。仕掛けの準備をしなくては。


 今年は「秘策」の伝授を受け(special thanks銀太郎様)、より楽しみに待っている。

 願わくば、家族の前で釣り上げたい。

 奥さんにも釣らせてあげたい。親戚にも送ってあげたい。皮算用も釣りの楽しみである。