「サンタさんへの手紙」

 子どもが血相変えて走り回っていた。「サンタさんの手紙がない」という理由だ。大事なモノならきっちりしまっとけ、というのは、大人の考え。子どもにとって「大事」とは「その時何を考えたか」だ。子どもにとって、その「手紙」がなければサンタと通信手段がなくなる。その時に考えたことは、もう思い出せない。サンタに思いを伝えるには、その「手紙」を見つける以外ないのだ。幸い、すぐ見つかった。親としても、子どもの「その時」の気持ちが知りたい。よかった。でも読めない。困った。