「逃亡のススメ。」

 先ほど、無事帰還を果たした。

 うちの猫。

 これまで一度だけ窓から出たことがあったのだが、今回は長い。


 外出の機会は二度。

 昼頃か夜。

 数時間か10時間なのか。

 
 発見は唐突だった。

 私が夜回りの身支度を整え、捜索隊として家を出ようとした矢先のことである。
 
 奥さんが半地下の半ば共同物置場と化している場所にうずくまる生き物を見つけたのは。


 餌を与えると普段の倍の量を即座に平らげた。

 緊張はエネルギーを消耗させるらしい。

 「今度勝手に出たら、捨ててしまうよ」と言い渡した後、眠くなってきた私である。