「春の桜に・・・」

 きれいだなぁ と

 何度見上げるのだろう

 桜を見ると いろいろ 思う


 どの桜も この時期に咲く 当たり前だが

 あの人にはこれができるのに 自分はできない・・・なんて思いを時折感じる自分には

 桜に向ける思いが 畏敬の念になる もちろん根付けずに 枯れてしまった者も多くあるのだろうが


 種を保存し かつ次世代に向けて 改良を というのが 至上命題の生き物たち

 花にしても そうだ

 花を咲かせ実をつけ 地に落とす そこで 桜の目的は 達成される


 この一年のうち 

 人間の目に鮮やかな時間はごくわずか

 ついそこに目がいきがちだが

 
 その一時のみ 桜は活動しているのではなくて

 常に活動をしている

 夏も秋も 冬も

 
 止まることのない営み

 
 夏の幹に触れ 躍動感を感じ

 秋の葉をつまんで 充実感を感じ

 冬の姿を吹雪きごしに見て 野心を感じてきた そして春


 自分が齢を重ね

 落ち着きを手にするごとに

 桜の美しさに 近付いてきた


 人間のほめ言葉など

 なんら必要としない存在だけに

 安心して 素直に口にできる


 

 きれいだ