「まんが一気読み」

 最近は読まないが、昔から私は漫画好きだ。昔は今のように透明カバーなんか掛かってなくて、立ち読みフリーだった。最近の書店では、雑誌すら「輪ゴム」をかけている。「どうせあなたは買わないんでしょ」と言われているようで、勝手に不愉快になってしまう。漫画は、ある種の病気だ。数多くの巻を重ねているものでも、半日かけて「一気読み」させてしまう「力」がある。深夜でもだ。しばらく前「タッチ(野球の漫画)」を急に読みたくなって古本屋で衝動買いしてしまった。当然他のことはほったらかしで終わりまで読んでしまった。
 漫画の「その力」は、どんなところにあるのだろう。私なりに考えてみると、それは「絵」による効果なのだろうと思う。まず登場人物の顔。小説なら、行間を読み、自分なりに想像しながら読むだろう。漫画なら、そこに描かれている顔が、その顔である。また、文章なら1ページを費やす場面の雰囲気でも、漫画なら「一コマ」で済んでしまう場合がある。「紙1枚」という単位面積あたりのデータ量が漫画の場合とても多いのだ。いい漫画は、読者が求めるストーリー、状況描写等を見事に表現している。膨大な「データ」をストレスなく読者の脳に伝えているから、「売れっ子」になっているのである。