「一歩。」

 ありきたりだが

 なくならない

 足されも 引かれもしない この言葉


 本来

 残っていくのは

 こうした 言葉なのかもしれない



 一つの 歩み

 ただ

 それだけ


 踏み出されなければ 残らない 痕

 仮に 後ずさりするにしても

 それは 残る 


 何もせずとも

 しなければ と 

 心に思うだけで 残る 痕

 
 こんな

 わずかな 揺れさえも

 許さない


 この言葉が

 私は怖くて

 たまらないのだ